2013年2月24日日曜日

覚悟を決めた女は強し。「放課後ライトノベル」第70回は『聖剣の刀鍛冶』で女性達の戦いを見届けます_2

。しかしそんな彼女の決意をあざ笑うかのように,事態は日を追うごとに深刻さを増していく。 ●襲い来る敵,迫る崩壊。立ち向かうのは不屈の意志  シリーズを追いかけていて印象に残るのは,何よりもその「容赦のなさ」である。主人公たちが大きなピンチに陥り,そこから勇気と機転,努力などで逆転する,というのは物語の王道パターンであり,『聖剣の刀鍛冶』でもそれは踏襲されている。しかしこの作品の場合,セシリーたちの追い込まれ方にまるで遠慮というものがない。  キャラクターごとに見ると,3巻で気丈なセシリーを再起不能寸前にまで追い込んだ事件が最たるものだし(具体的にどういったものかは本編で),国レベルでは今まさに絶体絶命の危機に陥っているところだ。危機に際し,いきなり強力な助っ人が現れるとかいったことはまったくなく,むしろ敵方に強大な新戦力が加わる始末。それどころか,度重なる戦いの中で主人公側の人間は次々と傷ついていき,主要キャラの中にも戦線を離脱する者が……。こんな状態から,いったいどうやって逆転していくのか!? と,とにかく読んでいて不安が絶えない。  だが,それも当然のこと。セシリーたちが向かい合っているのは,大陸の存亡にかかわる事態であり,そのために剣を交えなければいけないのは,何本もの魔剣(剣に姿を変化させることのできる悪魔)を所有する敵国の戦士たちなのだ,アイオン RMT。バトルものの中には,命のやり取りをしているはずなのになんとなくキャラクターが死にそうにない,一種の「ぬるさ」が感じられるものがしばしば見られるが,この作品はそんなものとは無縁。文字どおり命を削る戦いの数々に,読みながら思わずこちらも歯を食いしばらずにはいられない。  そして,だからこそ,どんなピンチに遭っても決してあきらめず,何度でも立ち上がるキャラクターたちの不屈の闘志が胸を打つのだ。セシリーやルークはもちろん,cabal rmt,ルークを献身的に支える少女リサ,セシリーの心強い相棒である魔剣アリア。たくさんのサブキャラクターたちから,名もない市井の人々まで,1人たりとも手を抜かれることなく描写されたその生きざまに,誰もが無事に結末を迎えてほしいと願わずにはいられないだろう。 ●それぞれの戦いに臨む,女たちの生きざまを目に焼きつけろ!  11巻ではそんな,それぞれの使命を懸命に果たそうとする人々の中から,さまざまな立場の「女たち」がクローズアップされている。  最初の第25-1話で語られるのは,セシリーを生み育てた両親のなれ初め
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