ロシアの販売会社である1C Companyは,比較的小粒な出展が多いKentiaホールの入り口正面にブースを構えていた。試遊台を置いての新作展示は行っておらず,二つのクローズドブースで,三つの新作タイトルを紹介していた。 この1C Companyは,開発会社としての顔も持っている。社内に二つの開発チームを抱えており,かなりのこだわりが感じられるタイトルを制作しているのだ。よく知られたタイトルとしては,日本でも発売されたフライトシミュレータが挙げられる。フライトシミュレータがふるわない昨今だが,2004年にはIL-2のエンジンを利用したコンバットフライトシムをリリースするなど,逆風に負けることなく,自分達のアイデンティティであるミリタリー系の作品を開発し続けている。 そんな1C Companyの心意気が感じられる作品が,今回クローズドで出展されていた「World War II RTS」だ。直球ド真ん中なタイトルは,彼らのミリタリーに対する自信の表れであるとともに,第二次世界大戦を扱ったRTSの代表格と言われるような作品を作りたいという彼らの意気込みを乗せたものでもあるのだろう。 WWII RTSは,マニアックなディテールへのこだわりをぐいぐいと詰め込んだリアルタイムストラテジーだ。ゲームエンジンはこれまでの同社の作品と同様に,IL-2のエンジンをカスタマイズしたものが使用されている。シングルプレイのキャンペーンはポーランド軍,ソビエト軍,ドイツ軍,連合軍の四つのパートからなっており,Diablo iii Gold,ミッションは史実から取材したものが70以上用意される。 とにかく細かく,そして可能な限り正確にというのが開発の基本姿勢となっているようで,ブーツ,そのことは画面写真を一目見ただけで分かるだろう。 戦車など兵器ユニットの作り込みは,本当に好きな人間でないとできないだろうなぁと思わせる細かさである。兵士ユニットも手が抜かれているわけはなく,装備を持ち替えさせれば,画面にはそのとおりに反映され,さらにユニフォームもすべて合わせて40種類以上用意されているという。 兵器は兵士を乗せなければ運用できず,兵士にはコマンダー,ガンナー,ドライバーといった兵種が設定されている。ステータスとしては,ヘルスに加えてモラルのパラメータも持っている。兵器から降車させれば,それぞれの歩兵を(そのような運用が有効かどうかは別として)戦闘ユニットとして戦わせることも可能だ。 今回は移動式の砲を運用する場面も見せてもらったが,数人の兵士が砲を旋回させたり移動させたりする動きはとても本物らしかった。 マップに目を移しても,こだわりの深さは変わらない。膨大な資料を手がかりに,第二次世界大戦当時の戦場の地形を可能な限り正確に再現しているという。場所によっては小さな村を丸ごと一つ再現したりもしているらしく,今回作品を紹介してくれた1C CompanyのAnatoly Y.Subbotin氏によれば,「もしも当時その家に住んでいた人がこれを見れば,自分の家だと分かるかもしれない」とのことだった。 またSubbotin氏は,「あらゆるものを細かく作り込んであるので,WWII RTSは第二次大戦時の兵器の百科事典のように使うこともできるだろう」とも話していた。どちらも細部への自信を感じさせる発言である。 WWII RTSの発売時期は,2005年の第4四半期を予定している。マニアックな作り込みにかけては他の追随を許さない作品になりそうである。(ライター:星原昭典)
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